2017年4月10日月曜日

夏井川渓谷にも春が

 夏井川渓谷の小集落・牛小川できのう(4月9日)、「春日様」(春日神社)の例祭が行われた。といっても、集落の各家から1人が出て参拝・直会(なおらい)をするだけだ。週末だけ隠居で過ごす半住民の私にも連絡がくるので、毎年参加している。
 集落の対岸はアカヤシオ(方言名・イワツツジ)の群生地。1週間前には影も形もなかったピンクの花が、斜面を点々と彩っていた=写真。この花が咲くと、木々が葉を落とし、冬の眠りに入っていた渓谷にも春がくる。土地の人はアカヤシオの開花とともに春日様にお参りして集落の1年の無事を祈る。

 全山がピンクの点描画になるのはこれから。“週末行楽”組には、今度の土(15日)・日(16日)が“花見どき”だろう。

 アカヤシオ以外ではアセビとアブラチャンが咲き、ハンノキ、ヤシャブシがひげのような花を垂らしている。林に入ればマンサク。隠居の梅の花は終わりかけている。道々、キブシが粒々の花を垂らしていた。光線の具合によっては、黄色というより黄緑色に見える。

 隠居の隣は「錦展望台」。もともとは家があり、谷側が杉林になっていた。持ち主がそれを解体・伐採して、ビューポイントとして開放した。車で次々に行楽客がやって来る。でも、天気が天気だから、対岸のピンクの花をながめてはそそくさと帰る。その繰り返しだったと、カミサンが言っていた。

 やがて、渓谷ではヤマザクラが咲き、道路沿いのソメイヨシノも花をつける。木の芽も吹き始める。さみどり色、臙脂色、黄色、薄茶色……。急斜面が淡いパステルカラーに染まるのを想像しながら、1年のうちで最も美しい瞬間に心を躍らせる。

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