2017年10月6日金曜日

絵本『やめて!』

「やめて!」。絵本の表紙で男の子が叫んでいる=写真。何に対して? 絵本を手に取ってパラパラやると、爆撃機・戦車・兵士・犬を引き連れた警官・不良少年が登場する。空爆・市街での発砲・弾圧・いじめに「やめて!」だった。「どうぞ、いいですよ、(絵本を)持って行ってください」といわれた。
 10月1日にいわき駅前のラトブでいわき地球市民フェスティバルが開かれた。メーンは「外国にルーツを持つ人たち」による日本語ショートスピーチコンテスト。ほかに、いくつか国際交流関係団体のブースが並んだ。シャプラニール=市民による海外協力の会のいわき連絡会もブースを持った。カミサンが参加した。手伝いの延長でスピーチコンテストの審査員になった。

 コンテストが終わったあと、絵本その他の本が並べられているIIA(いわき市国際交流協会)のブースをのぞく。床にずらっと本が並べられていた。そのなかに『やめて!』があった。店をたたむ間際だった。担当者から声がかかって、遠慮なくちょうだいした。

 絵本は、男の子が大統領にあてて手紙を書くところから始まる。書き上げた手紙を街なかのポストに投函するまでに、空爆~いじめが起きる。

 投函したあとは――。警官と犬が追いかけた人と一緒になって和んでいる。ドアを蹴破って家に入ろうとしていた兵士が、その家の人にプレゼントの品を渡している。戦車は斜面の畑を耕す動力になる。爆撃機からは、爆弾ではなくパラシュートで自転車が降ってくる。不良少年が自転車に男の子を乗せてペダルを踏む。争いから一転、平和な光景が続く。
 
 大統領への手紙にはこうあった。「ぼくの学校には、きちんとしたきそくがあります。つきたおしてはいけない。なぐってはいけない。このくにには、そういうきそくがないのですか?」。登場人物の言葉としては「やめて!」が2回、「やめてだって?」が1回出てくるだけだ。
 
 原作者はアメリカのデイビット・マクフェイル、訳は柳田邦男。家に帰ったあと、カミサンに絵本を見せると、「私が出したのよ」。

 IIAから会員に要請があった。古本を並べて上限100円で引き取ってもらう――。並んだ本の多くは、わが家から持って行ったものだという。

『やめて!』は、市立図書館がリサイクルに回した廃棄本を、カミサンが引き取ってきた。それをIIAに提供した。知らずに私がまた持ち帰った。つまり、三度のリサイクルを経験した絵本、ということになる。

 再びわが家にやってきたからには、ずっと手元に置いてやろう。いろいろイヤなこと、たとえばわけのわからない選挙があるときなど、この絵本をながめて男の子の叫びに耳を傾けよう。

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